
スタートアップ企業の中途採用給与はいくら?給与体系も含めた設定方法を解説
- カテゴリ: その他人事
- 公開日: 2024/2/19
個人事業主としての仕事量が増え、中途採用で社員を雇おうと思う人もいるでしょう。
その際、悩みの種になりがちなのが給与の設定です。
過去に給与を支払ったことがない場合、どれくらいの金額に設定すれば良いのかわからないという人もいるでしょう。
本記事では、スタートアップ企業の中途採用における給与について紹介します。
会社全体の給与体系も含めた設定方法も解説するので、参考にしてください。
1. 中途採用場合の給与の決め方
初めて社員などを雇う場合、給与をいくらにすれば良いのかわからない人もいるでしょう。
高すぎると会社に負担をかけ、安すぎると誰も来てくれない可能性があります。
そのような場合、基本的には「要相談」で募集をかけるのが一般的です。
そのうえで、以下のようなポイントに注目して設定します。
・前職を考慮
・競合他社との比較
・過去の成果(前職分)
それぞれのポイントについて解説するので、参考にしてください。
1-1. 前職を考慮
中途採用を行う場合、給与は前職を考慮するのが一般的です。
前職よりも安い金額の場合、採用を決めても応募した側が断る可能性があります。
また中途採用は新卒者とは異なり、経験・スキルを有しています。
前職での勤務年数などにもよりますが、社会人として未経験の人よりは高いスキルをもっているといえるでしょう。
前職での給与はこのようなスキル・経験なども加味した金額であると考え、最低のボーダーラインとして設定することをおすすめします
1-2. 競合他社との比較
中途採用者の給与を決定する際は、競合他社との比較も忘れないでください。
あまりに安すぎる金額の場合、早々に退職してしまうリスクが高まります。
例えば自社がゲームなどのプログラミングを行う会社だった場合、同様の業界・ジャンル・規模の競合他社の給与を確認しましょう。
スタートアップ時は会社として成り立っていないため、規模については難しいかもしれません。
その場合はさまざまな会社の従業員の人数を確認すると良いでしょう。
インターネット上で募集をしている求人サイトなどを利用すると、幅広く情報が集められて便利です。
1-3. 過去の成果(前職分)
もし成果物の提出が可能だった場合は、提出を依頼してください。
携わった完成品を確認すれば、その人がどれくらいのレベルのスキルを保有しているのかがわかります。
成果物の提出が難しい場合は、どのような案件に携わったのか、その際どのような点に注意・意識して取り組んだのかなどを確認すると良いでしょう。
ただし言葉だけでの成果の自己申告は、「採用して欲しい」という思いから誇張されている可能性もあります。
参考程度にすることを忘れないでください。
2. 給与の相場を調べる方法
中途採用だけに限らず、これから社員を雇って仕事をしていくのなら全体的な給与を設定しなければなりません。
しかし、これまで給与を支払った経験がない場合は、設定するためのあらゆるデータが足りていないでしょう。
そこで最初に行うのは給与の相場を知ることです。
相場を知るための参考としておすすめの資料として以下の3つがあります。
・転職市場
・「賃金構造基本統計調査」
・「民間給与実態統計調査」
それぞれの内容・注目すべきポイントなどについて解説するので、参考にしてください。
2-1. 転職市場
給料の相場を調べる際、転職市場を調査する方法があります。
採用担当者が実績・市場調査などを行い、インターネット上でデータを公開中です。
・大手派遣会社
・転職サイト
・転職エージェント
・法人系の人材サービス
正確なデータを入手する場合は、上記のようなサイトを参考にすると良いでしょう。
PDFファイルで公開しているものなら、より分かりやすくて信ぴょう性の高いデータが入手できます。
2-2. 「賃金構造基本統計調査」
「賃金構造基本統計調査」は、厚生労働省が公開している賃金データです。
データは毎年公開され、さまざまな種類別の賃金が確認できます。
主な種類は以下の通りです。
・賃金推移
・性別
・学歴
・企業規模別
・産業別
・雇用形態別
・役割別
これら以外にも「都道府県別」「短期労働者」などのデータも公開しています。
あらゆる方向から確認できるので便利でしょう。
2-3. 「民間給与実態統計調査」
「民間給与実態統計調査」は、国税庁が公式サイトで公開している給与データです。
データ収集の対象は民間企業のみとなっています。
主なデータの種別は以下の通りです。
・事業所規模別(10人未満、30人以上など)
・企業規模別(個人、株式会社など)
・業種別
・性別・年齢階層別
スタートアップ企業は民間企業としての立場に近いため、厚生労働省の賃金データよりも国税庁の給与データのほうが参考になるかもしれません。
3. 給与体系の設定方法
社員を雇用して会社として運営していく場合、給与体系の基礎固めは重要です。
昇進などによって支払う金額が変化するため、基盤はしっかり設定しておくと良いでしょう。
主な設定方法の手順は以下の通りです。
・項目の決定
・給与テーブルの作成
・報酬をシミュレーション
それぞれの設定手順のポイントを解説するので、参考にしてください。
3-1. 項目の決定
給与体系の設定で最初にしなければならないのは、項目の決定です。
大項目・中項目・その他の項目に分けて一覧表で見てみましょう。
大項目
・基本給・・・給与のベース
・職務給・・・役職手当
・時間外手当・・・残業・休日出勤
・賞与・・・年に1回または2回給与と別に支給。ボーナス。
中項目
・通勤手当・・・出勤時にかかる交通費
・住宅手当・・・社員の生活安定をはかるための住居補助
・家族手当・・・家族がいる社員の経済援助とモチベーションアップ
その他
・能力給・・・専門的な業務に携わる社員への手当
・インセンティブ・・・成績向上と企業の業績アップ目的で付与される手当
必ず設定しなければならないのは「大項目」です。
社員として雇用する場合は、賞与も含めて設定しましょう。
なお「中項目」「その他」については、多くの企業で取り入れられている手当です。
すべてを取り入れて設定する必要はありません。
会社の売上・利益率や勤務形態などを考慮して、取捨選択してください。
3-2. 給与テーブルの作成
給与の項目が決まったら、それぞれの項目の金額を設定して「給与テーブル」を作成します。
金額設定は、前述した給与の相場を調べる際の参考サイトなどを利用してください。
幅広くデータを収集して、設定に役立てましょう。
どのような給与テーブルを作成するかは、会社の規模・運営方針などによって異なるため、一概にはいえません。
ただ、基本給の給与テーブルだけは作成しておいたほうが良いでしょう。
基本給は一般的に年齢で金額が高くなる傾向があるため、基礎となる金額を設定してベースアップ率を考えると良いでしょう。
・25歳・・・14万円
・26歳・・・14.5万円
・27際・・・15.4万円
上記は年齢に対する基本給の給与テーブルですが、あくまで一例です。
業種・年齢・自社の規模などを考慮して、会社・社員の双方が納得できる金額を設定しましょう。
また、これとは別に職務給の給与テーブルも作成しておいたほうが良いかもしれません。
サブリーダー・リーダーなど、役職を設定したうえでいくらくらいプラスするのか設定してください。
・サブリーダー・・・2万円
・リーダー・・・2.5万円
・サブチーフ・・・4万円
・チーフ・・・4.5万円
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」では、役割別の賃金データが掲載されています。
大企業も含まれていますが、ベースアップ率などを参考にすると良いかもしれません。
3-3. 報酬をシミュレーション
最後に報酬をシミュレーションしましょう。
どのようなグラフ表示にするかは、好みで選択すると良いでしょう。
重要な点は、グラフを必ず右肩上がりにすることです。
右肩下がりは論外ですが、全体的に水平に近い状態もおすすめしません。
社員のモチベーションが下がる可能性が高くなるからです。
給与の上昇率が悪い場合、離職率が上がってベテラン社員がいない状態になるかもしれません。
そのような状態が長期間続くと、会社としての経営が成り立たなくなる可能性も考えられます。
報酬シミュレーションを行う場合は、全体的に右肩上がりになることを意識して微調整しましょう。
4. スタートアップの中途採用給与は相場を把握しよう
スタートアップ企業の中途採用を含めた給与について解説しました。
中途採用も含めた給与設定は、今後の会社の行く末を左右する重要な要素のひとつでもあります。
基盤を固めて設定する必要があるでしょう。
設定する際には、最初に相場を把握してください。
高すぎても安すぎても良いとはいえません。
自社の規模・強みなども考慮して相場を参考にしながら設定することをおすすめします。