【導入可能?】医療福祉のテレワーク事情!移行業務や導入ツールなどを解説!

  • カテゴリ: 業種別/医療・介護福祉
  • 公開日: 2022/4/11
新型コロナ感染拡大の影響もあり、働き方改革の考え方が広まった昨今。

さまざまな業界が企業独自のシステム構築、業務手順の洗い出しなどを行ってテレワーク化を進めています。

自社でのテレワーク化を進める中で、「他の業界がテレワークに向けてどんな進め方を行っているのか」が気になる方もいるでしょう。

特に医療福祉業界などの直接対面で接する職業は、テレワークとどのように向き合っているのでしょうか。

この記事では、医療福祉業界のテレワークをテーマに、


・医療福祉業界のテレワーク事情

・テレワーク化している業務事例



などを紹介します。

これからテレワーク化に向けて動き出したい方の参考になれば幸いです。

1. 医療福祉業界のテレワーク事情とは


国土交通省が行った令和2年度のテレワーク人口実態調査によると、医療福祉のテレワークの普及率は全体の8.3%という結果でした。

また、対面で接するサービスに関係する職業のテレワーカーの割合は10%を下回っています。

この調査結果からも、医療福祉業界全体のテレワークの普及が進んでいないことがわかるでしょう。

ここでは、そんな医療福祉業界のテレワーク事情について解説します。

1-1. 患者や利用者と直接関わる部分はオンライン化が難しい


そもそも、医療福祉業は患者や利用者と直接関わるのがメインとなるため、画面を通して業務を行うのは難しいのが現状です。

例えば、病院の業務では「手術」がテレワークに移行しにくい業務と言えます。

「直接人の手」が主流である今の医療を目の当たりにしていれば、テレワーク化の難しさも頷けるでしょう。

人の手を介さない、「手術支援ロボット」の投入は1990年代後半から行われているものの、広く普及するまでには至っていません。

介護業界であれば、「介護ロボット」もさまざまな場面での活躍が期待されています。

しかし、手術支援ロボット同様に普及率は低く、未だに人の手が頼りな状況が続いています。

手術や介護など直接人の手が必要になる部門では、テレワーク化への道のりが長いものであると言えるでしょう。

1-2. ICTツール導入で一部業務のオンライン化が可能

テレワークへの移行が難しいとされている医療福祉業界ですが、全ての業務が移行できないわけではありません。

ICTツールを用いることで、一部の業務はオンライン化に移行することは可能です。

対面で対応する業務を除けば、医療福祉には現場にいなくても作業できる業務もあります。

例えば、CTやMRIで撮影した画像をもとに病気の判断を行う読影診断など。

読影自体はすでに遠隔での実施がなされており、放射線技師のテレワーク化を真っ先に進める病院も少なくないでしょう。

在宅用の読影システムを無償提供する企業もあり、導入自体は機器や回線を不要としているため、すぐに在宅での作業に切り替えられます。

企業間との協力もあり、読影診断は比較的テレワークに移行しやすい業務と言えるでしょう。

さまざまな企業がテレワークに特化したICTツールを開発しています。

こうしたツールを利用することで、オンライン化できる業務も少なくありません。

2. 医療福祉業界でオンライン化されているものとは


対面の必要がない業務であれば、オンライン化の可能性も期待できるでしょう。

実際に多くの病院や施設等がテレワーク化を掲げていますが、どのような業務がテレワークに移行しているのでしょうか。

ここでは、医療福祉業界でオンライン化されているものについて見ていきましょう。

2-1. スマホやPCを使用したオンライン診療

医療業界でのオンライン化と言えば、オンライン診療が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。

2020年4月10日、厚生労働省より初診でのオンライン診療が認められました。

これにより、受診したことのない病院でも直接対面せずに診察を受けることが可能です。

家庭の都合や身体的な理由から病院に出向けない人にとっても、オンライン診療の導入は利便性の向上に繋がったと言えます。

特に新型コロナの影響によって発生した「受診控え」は、患者だけでなく病院にも打撃を与えるものでした。

感染リスクに怯える必要がないため、患者側としても安心して診療を受けられます。

しかし、オンライン診療でも映像だけで判断できることには限りがあります。

直接対面しないことで患者のわずかな変化にも気付けず、病状の悪化や重症化のサインを見逃してしまう可能性もあるでしょう。

急を要するような病気、怪我などの対応が困難であることはオンライン診療の課題のひとつです。

2-2. 委員会やカンファレンスにはWeb会議ツールを使用

Web会議ツールを活用することで、院内の委員会やカンファレンスは手軽に行えるようになります。

通常、職場内の会議であれば1箇所に集まって大人数で話し合うのが一般的です。

しかし、Web会議ツールを使用すれば、わざわざ会議室へ出向く必要がありません。

常に時間に追われているような人からすれば、時間的拘束が少ない部分をメリットに感じるのではないでしょうか。

また、オンラインであるため、普段出席することのない他の部署の人でも会議に参加しやすいのも特徴です。

会議に使用する資料はパソコン上で共有できるので、紙で印刷・配布するという手間やコストも削減できます。

2-3. 在宅でもカルテ入力や診療報酬計算が可能に

対面で患者と接する必要がある医師や看護師のテレワーク化は難しいですが、事務作業もテレワーク化しやすい業務のひとつでしょう。

カルテや保険情報の登録、レセプト業務などが代表的な例です。

表立って受付業務などを行わないのであれば、一部の事務員を在宅に切り替えたとしても滞りなく業務を行えます。

テレワークに移行しやすいツールやシステムは数多く提供されており、


・在宅でも院内のネットワークにアクセスできるツール

・院外からでもアクセス可能な電子カルテシステム



など、医療事務の場面でもICT化が進められています。

3. 医療現場で導入されているICTツールとは


医療の現場で活用されているICTツールはさまざまです。

それぞれの病院やクリニックの形態、方針などでも使用するツールには違いがあるでしょう。

では、実際にどんなツールが導入・活用されているのでしょうか。

ここでは実際に医療現場で導入されているICTツールを2つ紹介します。


・SPG-Remote Medical

・Cisco

3-1. SPG-Remote Medical

SPG-Remote Medicalは、院外であっても院内のパソコンにアクセス可能なリモートデスクトップツールです。

VPN通信を利用して画面の転送を行い、セキュリティクラウドを通じて安全に院内のパソコン操作ができます。

導入方法も簡単で、ルータを設置するのみ。

LANケーブルを接続し、電源を入れるだけですぐに環境構築が可能です。

専用のアプリ等のインストールも必要ないため、手軽な導入が実現できます。

また、気になるセキュリティ面もばっちりと対策しています。

例えば、IPアドレスを使用しないnon-ip技術を活用し、画面のイメージだけを転送するシステムを採用。

直接ネットワークを接続しないため、不正アクセスなどの脅威も心配ありません。

3-2. Cisco

Ciscoは、コンピュータネットワーク機器の製造をメインとする会社です。

テレワーク用のツールとしては、クラウドサービスとしてシェアの高いテレビ会議サービス「Cisco Webex」です。

複数のデバイスによる参加はもちろんのこと、録画や再生機能にも対応。

参加者による気軽なメッセージのやりとり、ファイル共有も可能で、会議をスムーズに進められます。

一度に接続できる数は1000を超え、大規模な会議やセミナーなどにも対応可能であり、院内外を問わずにテレビ会議への参加ができます。

4. まとめ

医療福祉業界のテレワーク化の可能性について解説しました。

医療や福祉のサービスの提供には人が欠かせません。

どうしても直接人と向き合う必要があるため、テレワーク化を進めるのはかなり困難な業種と言えます。

IT関連や技術サービス業など、テレワーク化の進んでいる業種と比べてみても、圧倒的にその割合が低いのが現状です。

しかし、ICTツールを導入することで一部の業務を在宅で行うことはできます。

そんな中でも、テレワーク化を行うことで患者や利用者に与える影響を考え、できるところからテレワーク化を進めていく必要があるでしょう。

ですが、「テレワークの導入=正解」とは限りません。

働き方よりも、患者や利用者により良いサービスの提供にウエイトを置くことを考える機関も少なくないでしょう。

「何を優先させるか」でも、テレワークの導入の有無が変わってくると言えます。